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雪の急傾斜を下る。そして車両通行不能の道へ 足尾山・一本杉峠(後編)

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本殿の左奥から、かなり斜めった石段を登る。少なくとも昭和はじめだから百年近く前、もしかして明治に作られたとすると百五十年前ということになる。昔のものにありがちだが、段が小さくて急である。四、五世代前は足が小さかったのだ。 3ヶ所ほどの踊り場を越えると、広くなった足尾山頂である。石組みを整えたのは近年で、ちょうど正方形に石材が積み上げられている。意外にも声がする。まだ10時半、どちらのルートから来たのだろうか。 奥宮まで上がってまず拝礼。 晴れわたり風もなく、周囲は四方向とも眺めが開けている。 麓でも見えていた日光連山がくっきり見える。左手に彼方の山々が連なっている。 「八ヶ岳、あれは北アルプスかな。いい景色ですね」先客は女性で、私よりずいぶん若い。岩瀬から登って筑波山まで縦走するんだそうだ。岩瀬からだとこの時間には、早いパーティーでも燕山の東屋だから、ずいぶんハイペースである。 「こんなに雪だとは思わなかったので、チェーンアイゼン持って来ませんでした。加波山あたりはたいへんだったです」足尾山は627mだが、加波山は708m、燕山は702mとさらに標高が高い。傾斜も急なので、積もればさらに滑りやすいだろう。 先客がここでお昼休憩にする気配だったので、早めに休憩を切り上げる。この日は一本杉峠まで通ったことがある道だが、その先は初見である。 足尾山からの下りは北側斜面で急傾斜、いきなり積雪である。 私もチェーンアイゼンは持ってきていない。いないどころか、暑くなる方を心配していたのである。滑り落ちないよう慎重にステップを切る。なんとか林道まで下りた。 林道の先に東屋があって、記憶ではその横の登山道を下ると近道なのだが、雪道は危ないしかえって時間がかかる。轍の跡だけでも雪のない林道を進む方が安全である。緩いカーブを下る。 方向転換すると、木々の向こうに丸山の風力発電施設と加波山が見えてきた。プロペラは一つだけゆっくり回り、もうひとつはまったく動いていなかった。そのくらい風のない日だった。 坂を下り切ると一本杉峠。石組みの上にベンチが見えるが、そこまでは登らない。きちんとした舗装道路はここまで来た足尾山からの道とこの先丸山へ向かう道で、交差している八郷方面への道と真壁町白井への道は砂利道で心細い。 心細いどころか、「この先車両通行不能」「

モントゴメリー&ピクレー「土と内臓」

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原題「Hidden Half of Nature」、自然の隠れた半分である。自然というと、動物や植物といった目立つものばかり見てしまうが、 それらよりはるかに広大な微生物の世界があるという趣旨である。 「土と内臓」は、その世界を意味する超訳である。 共著者のモントゴメリー&ビクレーは夫婦で、夫が生物科学者、妻が土壌研究者である。それぞれの専門知識だけに偏ることなく、たいへん読みやすく構成されている。 シアトル近郊で住居を購入した夫婦が庭造りするところから始まる。前の住人が園芸に興味がなく、一面の痩せた土だったところに落ち葉や木材チップ、コーヒーかす、たい肥を入れることにより短期間で豊かな土壌にする。なぜこんなに短期間でできたのか。 それは、目に見えるところではミミズなどの小動物だったり、それをエサにする虫や鳥だったりするのだが、それだけではない。バクテリアをはじめとする微生物の力が大きかったのである。 庭の話から、一転して生物の話となる。かつての生物学は動物・植物を中心とした系統樹的な考え方が主で、単細胞の生物がどのように高等動物に進化したかという観点でとらえられていた。 ところが、DNA解析が進み、生物の違いを遺伝子の差によって分類すると、 動物や植物を含めたグループは生物の一部にすぎず、細菌や微生物といったグループがそれ以上のスケール であることが判明したのである。 われわれが地球外生物というと、イメージするのは火星人とかE.T.になるけれども、実際にいるとすれば昆虫であり植物であり、もしかすると微生物や細菌は見えないだけで太陽系内にいないとも限らないのである。 ここ百年ほどで、感染症に対する対策が飛躍的に進み、アスピリンやストレプトマイシン、抗生物質により多くの感染症が激減した。これらの開発にも土壌菌が寄与しているのだが、いいことばかりではない。細菌・ウイルスも進化して耐性を身に付けるからである。 こうした特効薬はいざという時のすぐれた対策ではあるものの、健康を維持するためにはそれらとは別に普段の生活を変えていかなければならない。 われわれの大腸は園芸における土と同様、数限りない細菌・微生物の住処なのである。 腸内微生物のはたらきによって、われわれの体調・気分を左右するホルモンが出されることが分かってきた。つまり、われわれの

サプリメント依存症?依存症と言えばいいってものでは…

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YouTubeの北條先生の動画は、更新頻度が多いのと参考となる内容が多いのでよく見るのだが、今回の「サプリメント依存症」はいまひとつ。内容が乏しい上に説明不足で、結果的に言いっぱなしの話であった。 「サプリメントを3種類以上飲んでいる人を、私は依存症と定義します」はいいのだが、知りたいのはサプリ依存症になるとどういう実害があるかなのだ。 ビタミンBとCとミネラルのサプリを飲むと、どういう実害があるのか。 依存症に警鐘を鳴らすのはいいけれど、実害がないものに口出しするのは大きなお世話である。先生の大好きな「科学的な実証・根拠」でいえば、神頼みに科学的裏付けはない。しかし、毎朝神棚を拝んでいる人にどうこう言うのは科学ではない。医者だからといって声高に主張するのは勝手だが、それでどうするかは個人の自由である。 酒・タバコ・違法薬物、スマホ、テレビゲーム、ギャンブル等々で依存症が問題となるのは、 第一に人体に有害であること、そして経済的に負担が大きいことである。 それらは社会的に悪影響を及ぼす。 依存症に陥った人間が時間をそればかりに使うことにより生産性が落ちることも問題ではあるが、それは社会的な問題とはいえない。活字中毒になる人の稼ぎが少なくても、それは個人の自由である。 北條先生としては、小林製薬の紅麹が問題になっているので便乗したのであろうが、先生の動画によればあれはそもそも食中毒なのだから、依存症に関連付けるのは無理筋である。食中毒を避けるため食べるのをやめましょうでは、食中毒になる前に飢え死にである。 動画をみる限り、サプリメントに頼ること自体を問題としているようだが、もともと食品なのだから、薬効(薬理効果)もないかわりに実害もない。摂りすぎを問題とするのなら、水だろうがコメだろうが中毒になる。 依存症を問題とするならサプリメントより処方薬の方がずっと実害がある。 すべての医薬品には薬効が証明されているが、同時に副作用も証明されている。連続して服用すれば当然副作用のリスクは大きくなる。処方された薬は必ず飲みましょうというのは、薬局の陰謀だと思っている。(少なくともケースバイケースである) サプリメントに話を戻すと、もともとサプリは食品なのだから、サプリを摂りすぎるのと野菜を食べ過ぎるのに本質的な違いはない。腹八分目・偏食は控えましょ

足尾神社で足腰の健康をお願い 足尾山・一本杉峠(中編)

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足尾山は4年ぶりだが、きのこ山は3年前に登っている。その時はきのこ山から上曽峠、湯袋峠経由筑波高原キャンプ場まで歩いた。 下りてきた時と登った時の1年の間にふれあいの道関連の標識は格段に整備され、迷うところはなくなっていた。今回も、3年前よりさらに標識が増えていた。 道に迷うところはまったくないのだが、なぜかなかなか着かない。そろそろと思っていたら、まだつぼろ台の分岐だった。実は記憶違いで、きのこ山まで1時間半で登ったと思っていたが、帰ってから調べるとつぼろ台まで1時間半だったのだ。 きのこ山まで、真壁から休憩なしで9時10分到着。所要時間は1時間40分 である。マラソンばかりで山登りしてなかったからかなあ、ちゃんと鍛えないといけないと思ったのだけれど、実は前回より若干早かったのである。 なかなか着かないのと合わせて気になったのは、斜面に雪が残っていることであった。前の週に千葉ニュータウンでも積雪があったけれど、その日のうちに融けてしまった。 だから、暑くなる心配はしていたけれど、雪道の心配はしていなかった。チェーンアイゼンも持ってきていない。というよりも、この時点でも登山道に雪が積もっていたらどうしようとは思っていなかったのである。 朝ご飯は4時台だったので、早めのお昼休憩にする。 用意したのはコモパンのチョコレートとカロリーメイト、テルモスのお湯でインスタントコーヒーを淹れる。かなり寒かったのでコーヒーがあたたかくておいしかった。 東屋で休んでいると、筑波方面から歩いてきた単独行の人が、写真を撮ってすぐに足尾山方面に向かっていった。バックパックが私のマラソン用と同じ大きさなので、おそらく水と非常食くらいしか入れていないのだろう。 筑波山に朝登ってここまで来て、加波山・燕山・雨引山を経て岩瀬まで縦走するのかもしれない。だとしたら、ここで休んでいる訳にもいかないだろう。結構なロングコースだが、ここを歩いているとよくそういう人達と会う(この後も会うのだった)。 きのこ山から足尾山までは林道歩き。だから気軽に考えていたのだが、 なんと車の轍の二本線以外は雪が道を覆っていた。 歩く場所が限られることに加え、この日の好天でパラグライダーの送迎車が行き来するので、そのたびに道端で待機しなくてはならない。 鈴木さんの本にNASAとあるので

糖質制限2024年3月(続き) 紅麹騒ぎとアルコール摂取量

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先月のアルコール摂取量は1日平均18g、 2024年に入って20g以下のレベルを維持している。 厚生労働省がアルコール摂取は健康維持に問題があると言った途端、9%のチューハイが安売りスーパーから姿を消した。2、3ヶ月前まで、低アルコールの安売りはごくわずかしかなかったのに、いまや9%がその運命にある。 普通に考えると、おカネをかけずに酔いたければ2㍑の焼酎とかウイスキーを買えばいいのであって、100円チューハイを5%から9%にしたところであまり意味がない。世の多くの人達は宣伝に左右されるということだろう。 だったら厚労省が何を言おうと旨い酒を呑むでよさそうなものだが、そういうものでもないらしい。昔の酒飲みは家計より酒だったが、いまそんなことを言っていたら家から放り出される。 私の場合、厚労省が通達を出す数ヶ月前からアルコール含有量に気をつけていた。体調にてきめんに響くようになったからである。安売り店に5%のチューハイがあまり置いてないし、9%より高いのはどうしたことかと思っていた。まあ、それだけ安い原料だということだが。 一方で、内閣府が以前から問題提起しているのにほとんど注目されなかったのが紅麹である。YouTubeの北條先生が力説するように 製薬と名前が付いているけれどもあれは食品加工会社で、食中毒事件 であると指摘している。 いずれにしても、EUでは何年も前から問題視されていて規制、日本では政府機関がHPで注意喚起しているにもかかわらず死者が出るまで放置である。これは何なんだろうと思う。 p.s. 糖質制限シリーズ、バックナンバーは こちら 。 p.s.その2 糖質制限事始め、GO DOWN CLASSICに載せてます。 こちら 。 厚労省が指針を出してすぐ、マーケットから9%チューハイが姿を消しつつある。そのうち2㍑の焼酎やウイスキーもそうなるかもしれない。 ↓どれかクリックしていただければうれしいですが、ブログ村は最近広告ばっかりなので、データ無制限でない方はご注意ください。