組合は労働者の取り分を増やすのが目的では

この前ニュースを見ていたら、経営者と労働組合のトップが会談していた。経営者側が日本商工会議所、組合側が連合である。

組合が賃上げ要求をするのは当然で、そのために組合が存在するのだが、対して経営側の日商が、賃上げ分を価格転嫁すべきだと述べ、それに連合が同意したようなニュアンスであった。

会談内容がすべてニュースになった訳ではないし、TV局の意図的操作の可能性もあるが、もしそのとおりならお前たち何のために組合費取ってるんだという話である。

仮に賃上げができたとしても、それが100%価格転嫁されたら労働者の実質賃金は変わらない。持続的な賃上げという名前の賃金据え置きである。

昨今の情勢は、政府も日銀も経営者もインフレ待望であるが、インフレが進めば庶民の生活は真っ先に苦しくなる。結果的に喜ぶのは借金が目減りして喜ぶ人達だけである。(庶民は10%以上の金利で借りるのでかえって苦しい)

組合の目的は労働分配率の向上、企業の儲けをより多く労働者に還元することなのに、一緒になってインフレ待望とは何事かと思う。彼らは昔から「労働貴族」と呼ばれているが、組合員の納める組合費で暮らしていることを忘れてもらっては困る。

いま企業業績は軒並み最高益を更新していて、それで株価も30年ぶりに史上最高値に迫っている。とはいえ、個別の企業についてみてると、バブル時のような先行きバラ色という環境でないことは確かである。

組合幹部としては、目先の賃上げさえ果たせば怠けていると責められないと思っているのだろうが、普通に頭を働かせれば経営サイドに要求することはいくらでもあるはずだ。ヨーロッパであれば、間違いなくCO₂削減とか持続的成長とかに投資を要求するだろう。

結局のところ、経営者だの組合といった役割分担をしているだけで、既得権を持った者がそれを引き続き確保したいというのが本音である。こういうロールプレイングゲームばかりしていると、仮に金利上昇、国債価格暴落となった時に、みんなしてあわてふためくことになるような情勢である。

[Feb 18, 2024]

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