NHK党ポスタージャックの感想

NHK党が都知事選でまた騒ぎを起こしている。良識ある人々の多くは不快に感じているはずだが、面白がっている人が一定数いることも間違いないので(だから政党補助金が出ている)、選管も警察も行政も何もできないだろう。

私は都民ではないし、党首の顔は嫌いだし、YouTubeも決まった動画しか見ないからニュースで目に入らなければ知らなかったことだし、関係ないといえば関係ない。ただ、こういう事態は十分考えられたのに、何も準備しなかった立法・行政・地方自治の人達はNHK党よりずいぶん頭が悪いと思う。

選挙制度を売名のために使う人達がいることは前から分かっていたし、何年か前ブログに書いたこともある。そんなことをしていると、いまに中国やロシアのようになると言ったところで、彼らには分からない。将来のことを考える頭がないからである。

選挙制度というものがあって、税金を使って広報宣伝してくれる。供託金と広報メリットを秤にかけて、メリットが大きければ利用しないのは目の前のカネに手を出さないのと同じ。あとは、いかに注目を集めるかである。

いい悪いを別にすると、やってることはたけしやさんま、めちゃイケやイッテQと変わらない。違うのは、彼らの場合はTV局というフィルターがかかるので、一定数以上の視聴者が見込める(視聴率がとれる)ものでないと電波に乘らないことであった。

いまの時代は、その「一定数」の閾値が急激に下がっている。NHK党の得票率は1%くらいだが、TVで1%の視聴率では番組打ち切りである。選挙で1%取れば、やり方によっては政党補助金が出る。

政党補助金をもらうのは大変だが、こうして話題になってYouTubeのアクセスが伸びれば、それで彼らとしては御の字である。アクセスが伸びればGoogleからおカネがもらえる。そのおおもとは広告料である。

新聞やTVがタダで広告宣伝してくれることに加え、選管のポスター掲示は津々浦々になされるし、NHKで政見放送も流してもらえる。人目に立つ場所に看板を立てれば警察や行政がうるさいが、選挙ポスターの体裁にすれば選挙期間中は文句を言われない。

だからこうした選挙制度を使った広告宣伝をやらせないようにするには、供託金を上げるか、ポスター掲示・政見放送をやめるかしかない。でもそうしてしまうと、本当に民主政治の危機となった場合に選挙活動ができなくなるおそれがある。

個人的には、マイクを使って街宣車で候補者名を連呼される方が、選挙公告にヌードポスターを貼られるよりもっと嫌だが(見なければいい話だから)、独裁政治とどっちがましかということになる。選挙は行われても独裁者の認める候補者しか出られないなら、イランや中国、ロシアと同じである。

いまの日本で独裁政治になるはずがないという見方には、私は同意しない。80年前のことまで遡らなくても、少し前まで住んでいたマンションの管理組合で、みんな委任状を出すのをいいことに独裁していた理事長がいた。日本は、そういう人達が出現する風土なのである。選挙制度を自分の利益のために使おうという連中と、実はよく似た人達なのである。

p.s.「なんとなく思うこと」、世間の多くの人達が思うことと私が思うことはかなり違うみたいです。バックナンバーはこちら

NHK党のポスタージャック。民主政治は当り前で、選挙制度を使っていかに自分が得するか考えればこういうアイデアは出てくる。独裁政治とどっちがましかということである。

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