半世紀前の話50 蚊帳(かや)・蠅帳(はいちょう)

もしかすると今でも地域によって使っているのかもしれないが、子供の頃にあっていまほとんど見なくなったのが蚊帳(かや)である。

親の実家が農家だったので、お盆とかに行くと寝る時蚊帳を吊っていた。そうしないと蚊とか虫が入ってきて刺されるからだが、蚊帳を吊ると結構暑かったのを覚えている。

蚊帳(かや)。昔の家は気密性がよくなかったので、寝ている間に虫が来ないようにするには、蚊帳を吊らなければならなかった。

なぜ蚊帳を吊るのかというと、雨戸はもちろんガラス戸さえ閉めずに開けっ放しにするからで、半世紀前の農家はそれが当り前だった。いまは、農家であっても気密性もあるし断熱材も入っているので、シャッターも網戸もあるし冷房をかけて寝る家も多いだろう。

その頃の農家は畳敷きの部屋のふすまの外に縁側があって、その外にガラス戸と雨戸があった。気密性はほとんどなく、天井付近には隙間があったし、蚊でも虫でもどこかからやってくる。縁側には蚊取り線香を置いてあったけれど、外に置いてあるのと同じである。

蚊帳がなくなったのはベープマットの効果も大きい。蚊取り線香もベープマットも作っているのは同じ会社(大日本除虫菊=金鳥)で、ベープができたから蚊取り線香の会社がつぶれた訳ではない。戦後まもなく米軍占領下でDDTが撒かれてシラミが少なくなったのはよく知られるが、高度成長期のベープマットとバルサンの効果も大きい。

もうひとつ、昭和30年代はまだまだ火災に対する脅威が大きくて、街中には防火用水が多く置かれていた。虫が寄ってくる場所に水が置いてあるものだから、そこに卵を産んでボウフラになって蚊の成虫になる。蚊もいまよりずっと多かった。

もちろんいまでも貯水池はたくさんあって、公園に行くとヤブ蚊が群れをなしているけれども、住宅街の中に防火用水があることはほとんどない。下水も汚水もすぐ地下だし、庭に池がある家も少数派になった。昔は錦鯉だの何だの飼っている家は結構あった。

蚊帳と同じで昔あっていま見ないのは、食事の際にお膳に置いてある蠅帳(はいちょう)。昭和時代の北海道はいまよりずっと涼しく冷房普及率が50%なかったので、旅館や民宿でも30年くらい前まで使っていたように記憶している。

蠅はいまでもどこからかやってくるのだが、昔に比べるとずいぶん少なくなった。蠅帳の少し前には、食堂の天井から蠅取り紙が下がっているところもあった。食べ物を扱っていれば蠅は来てしまうということだが、いま思うとかなり不衛生である。

p.s. 「半世紀前の話」、バックナンバーはこちら。私が10代の頃を思い出して書いてます。

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