林道に「歩行者通行禁止」の看板 日光丹勢山（中編の１）

豪快に落ちる裏見の滝を後にして、いったん駐車場に戻る。丹勢山へは女峰山の案内のある方向、「山火事用心」の横を入る。おなじみの日光標識がある。しかも、最近付け替えられた新しいものだ。

登山道はそれほどハードなものではないが、あまり刈り払いが行われていない。人通りも多くないようで、笹薮が腰辺りまで伸びているところもある。雨が降っていないからいいが、荒天なら林道経由が安心かもしれない。

十分ほど歩いて林道に出る。「女峰山→」の看板は林道を横切って登山道に続くが、ここを進んでしまうと方向違いである。丹勢山へは林道を左に登る。登山口には「丹勢山麓散策路」の表示があったが、ここに案内がないということは、最初から林道歩きを想定しているのだろうか。（下山時に通ったが相当遠回りになる）。

林道歩きはたいへん快適である。このあたりは路面がいいので、右足と左足を交互に出していれば前に進む。林間の登山道では湿気がきつくてむっとしたが、林道はさわやかに風が抜けて汗が引いた。

とはいえ、工事車両の通行を想定しているので、傾斜が緩やかでたいへん大回りである。標高を上げていくと、２つ３つと沢を渡る。この橋が面白いのは、銘板が橋脚でなくガードレールに固定されていたことであった。昭和30年代、半世紀以上前である。

登山口から40～50分で景色が開けた伐採地となり、スイッチバックで標高を上げると伐採地中腹がキノミ平分岐であった。路面がいいのはキノミ平、慈観滝方向で、ちょうどそちらに女峰山が見える。ところが、眺めている間にどんどん雲に覆われていく。

女峰山がこうやって隠れていくのは以前も何度か見たことがある。赤薙山の時は、昼過ぎから土砂降りとなった。男体山では夕方ホテルに着いたら降り出した。予報では「夜になると雨のところがあるでしょう」とお気楽なものだったが、下山までもつだろうか。

そして路面状況は、丹勢方面に進むとあきらかにグレードが落ちて、アスファルト舗装から砂利道となる。野州原（やしゅうはら）林道はこれから男体山方向が本線のはずだが、それだけ路面維持が難しいということだろうか。

さて、このあたりの注意看板は、「前橋営林署・宇都宮営林署」連名になっていた。登山口の看板も、この後の林道分岐の看板も「日光森林管理署」だから現在はそうなっているのだろうが、かつては前橋・宇都宮共同で管理したのだろうか。野州原林道の名称も、そのあたり関係があるのだろうかと考えながら進んだ。

キノミ平分岐から先は路面が悪くなっただけでなく、ふたたび林間になって展望がきかなくなる。大きなスイッチバックでかなりの距離歩かされるので、どこまで登ったらいいのか分かりにくい。それでも、30分ほど歩くと「林道交通安全」の幟がある分岐点に達した。

三叉路になっていて、右が「志津小屋・男体山14km」左が「丹勢6.3km」。そして、志津小屋方面の林道入り口には「一般通行禁止　車両・歩行者の通行を禁止します」と書いてある。

前日に地図を再確認して、志津小屋先で裏男体林道から分かれた野州原林道は、丹勢山の横を通って裏見の滝まで下る。だからここは、志津小屋方面に進むのが丹勢山への最短ルートであったが、通行禁止看板にも影響されて方向違いに進んでしまった。

そして、「丹勢」というのは丹勢山のことではなくて、麓の集落（清滝丹勢町）を指すのである。にもかかわらずこういう立札を立てるのは、登山者は林道を通るなということであろうか。全国的に国有林の管理が厳しくなっているとはいえ、まったく不親切なことである。だったら、登山口に登山はご遠慮くださいと書け。

それで丹勢方向に進んだのだが、ずっと下りだし、車両通行止めのゲートが出てきたのでおかしいと気づいた。とはいえ、もう逆方向、清滝丹勢町・駐在所前からのルートが目前である。予定とは違うが、ガイドブックに載っているルートで登ることにした。

（この項続く）

p.s. 「中高年の山歩き」バックナンバーはこちら。

登山道は結構な笹薮で、あまり人が入っていないように見えた。下山時には安全策をとって林道を下ることにした。

しばらく進んで林道に合流。ここからしばらくは快適なハイキング。

伐採地で景色が景色が開けるとやがてキノミ平分岐に達する。慈観滝方面に女峰山が見えたが、どんどん雲に覆われていった。

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