富山の山歩き

クマ被害の報道は、11月に入っても続いている。ここまで来ると国も対策を取らなければならないと思われ、来年は少しでも事態が改善されていることを期待したい。

関東では唯一クマのいない県である千葉だが、しばらく前の台風で登山道が壊滅してから行っていない。この冬は久しぶりに行くことになりそうだ。

下の記事は2013年2月、12年前に富山に行った時の記事。当時まだ平成なので、文中「皇太子殿下」とあるのは今上天皇陛下である。また蔦屋重三郎は今年の大河ドラマの主人公。時の流れを感じざるを得ない。

当時の山行記録バックナンバーはこちら
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伊予ヶ岳の下りでややきつい勾配をクリアすると、あとは房総らしいなだらかなアップダウンが続く。9時を過ぎて暖かくなり、絶好のお散歩日和となった。伊予ヶ岳から富山(とみさん)は約1時間のハイキングコースである。

2万5千分の1地形図は用意しているものの、目の前に富山、後方に伊予ヶ岳が見えるのでほとんど方向は間違いようがない。唯一戸惑ったのは、畑の中を抜けようとして猪防除の電線を踏みそうになった時くらいで、下の写真のような富山を正面に望む尾根道を進んでいく。右左は下っていて、車道がかなり下に見える。

ときどき農家の人達が作業をしている横を通り過ぎるが、このルートをとる人はあまりいないのか、すれ違うハイカーはほとんどいない。あたりには水仙の花がいっぱい。出荷するのか畑にきれいに植わっているもあれば、こぼれ種(球根?)なのか草むらに群生しているのもある。このあたりは首都圏より4~5℃、奥多摩あたりと比べると10℃くらい気温が高いので、そろそろ花の季節なのである。

富山に近づくとだんだんと傾斜が急になる。舗装道路が続いているのですぐに気付かないが、振り返るとかなり急坂を登ってきたのが分かる。とはいえ、休憩をはさむほどではない。さらに進むと、道端に「お使いください」と竹の杖が置いてある。

さて、富山は滝沢馬琴「南総里見八犬伝」の舞台としても有名である。「八犬伝」は戦国大名・里見氏をモデルとした馬琴の創作なので、もちろん伏姫も八房も八犬士も実在しない。里見氏はもともと新田氏の分家筋で代々幕府に仕え、足利幕府・古河公方の家臣であったが、後北条氏に圧迫されて勢力が衰えた。

市川に里見公園という国府台城址の公園があり、船橋・市川あたりの小学生はよく遠足に行くところなのだが、ここはもともと里見氏が後北条氏と戦って敗れた場所である。(後北条氏は北条早雲が堀越公方を滅ぼして勢力を伸ばし、さらに古河公方を圧迫した。古河公方配下の関東管領・上杉氏は最後は越後・長尾氏を頼り、長尾景虎が上杉謙信となる。)

その後、後北条氏が秀吉に滅ぼされて復活したものの、江戸時代初めに改易(取り潰し)となった。この時、旧藩主に従い最後は殉死した八人の家臣(八賢士)がいて、ここから馬琴が構想を得たものである。

ちなみに、滝沢馬琴は、十返舎一九、東洲斎写楽、喜多川歌麿と同様に版元・蔦谷重三郎配下の作者グループである。従って、八犬伝と弥次さん喜多さんは同時代(文化・文政時代、19世紀前半)の作品である。富山には伏姫のこもった洞窟「伏姫籠窟」があるが、「弥次さん喜多さんお泊りの宿」と同じくらいフィクションということになる。

さて、富山の頂上までの最後の登りは結構しんどい。また、伊予ヶ岳から歩く人はそうはいないのだが、すぐ近くの駐車場から歩く人は多いので、頂上の休憩広場はいっぱいであった。ここには立派な展望台が置かれていて、皇太子殿下ご夫妻がご来山の際に整備されたとのことである。

普段なら富士山まで見える場所らしいが、冬の割に暖かくて水蒸気が多い分、遠くまでの見晴しは得られなかった。北風が強くて寒いのもつらいから、まあよかったと思うことにしよう。

もと来た道を下り、伊予ヶ岳の麓まで戻って車道を駐車場へ。1日暖かくて気持ちのいいハイキングでした。奥さんは下りが続いて太ももが痛かったそうだが、私の方はどこも痛くならなかった。やはり昨年来の山歩きの経験が生きているようで、ちょっとうれしい。

この日の経過
平群天神社駐車場 8:20
8:50 伊予ヶ岳展望台 9:05
9:20 富山分岐 9:20
10:20 富山登山口 10:20
10:50 富山頂上 11:10
12:30 平群天神社駐車場

[Feb 20, 2013]

伊予ヶ岳から富山に向かう。伊予ヶ岳は登山道だが、富山は頂上直下まで舗装道路が続いている。


富山頂上近くの展望台。この日は2月にしては暖かかったせいか、それほど遠くまでは見えなかった。この展望台は、皇太子殿下ご夫妻のご来山の際に建てられたもの。


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