然別湖畔温泉
北海道は自分で旅行するようになってから、何十回と行った。独身時に8年連続、子供を連れて8年連続、子供が独立して奥さんと二人で十数回。ここしばらく行っていないのは、列車もホテルも観光地も中国人で一杯になったのと、温暖化で夏でも涼しくないのが大きな要因である。
日本渡航自粛令が出て、最近ではようやく静かになったらしい。インバウンド需要など長続きするものではなく、リゾートの土地買い占めもいい加減にしてほしい。もっともクマが市街地に進出しているので、彼らもまさか獲って食べる訳にはいかないだろう。
以下は2015年7月の記事。 北海道は広くみどころも多いが、その中でも然別湖(しかりべつこ)は印象深い場所のひとつである。あまり中国人が来なくなったら、もう一度行ってみたい。
以下は2015年7月の記事。 北海道は広くみどころも多いが、その中でも然別湖(しかりべつこ)は印象深い場所のひとつである。あまり中国人が来なくなったら、もう一度行ってみたい。
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帯広市街から北に向かって2時間弱、然別湖は大雪山国立公園の区域内にある。きわめて環境保護に厳しい地域であり、道路も一部は一車線のみである。新規の建築が原則として認められないため、宿泊施設は然別湖畔温泉ホテル、ホテル福原の2軒しかない。
実はこの2軒以外に、40年前は然別湖畔ユースホステルがあった。湖畔温泉ホテルがやっていたユースホステルで、2段ベットのぎゅうぎゅう詰めだったと記憶しているが、当時はユースホステルなんてみんなそんなもんだった。ここの遊覧船も湖畔温泉ホテルが経営しているので、料金が割引になったように覚えている。
然別湖に泊まるのは、以来40年振りのことである。湖畔温泉ホテルは現在、ホテル風水という名前を使っているが、ところどころに古い名前の表示が残っている。おそらく閑散としているのだろうと思っていたら、予想に反して観光バスが6、7台という盛況であった。ホテル風水には中国人ツアー客が数十人、ホテル福原には京都の修学旅行生が泊まり、たいへんな賑わいであった。
ホテル風水は客室のすぐ外が湖なので、窓から然別湖が一望できる。湖の対岸が天望山、別名唇山(くちびるやま)である。湖面に映った山がちょうど上下の唇のように見えることから名付けられた。着いた日の夕方は霧に包まれて見えず、翌朝の夜明け前にようやく見えた。ところが日が昇ると、右端の峠から雲が進出してきて再び姿を隠してしまった。神秘的である。
着いてさっそくにお風呂をいただく。含食塩・硫黄泉で、色合いはまさに硫黄のおうど色なのだけれど、それほど硫黄臭がないのはイオン化しているからだろうか。特筆すべきはその湧出温度で、70度以上ある。かけ流しならばどこかで冷ましているのだろうが、あるいは加水しているのかもしれない。
このところ鉱泉を沸かしたお湯が多かったので、噴き出した時から熱いお湯は久しぶりである。気のせいかもしれないが、よく温たまる。大勢宿泊できるホテルだけあって、浴室も大きい。団体客の入る前にゆっくり入っていたら、上がってから汗がとめどもなく出た。温泉につかりながら、40年前にここに来た時に聞いた話を思い出していた。
もともと然別湖畔には道が通じておらず、宿泊客や資材・食糧は舟で運んだという。北海道の湖にはダムによる人造湖が多いのだが、ここは火山活動により川がせき止められた自然湖であり、有史以前からある。アイヌの民話でも素材にとられており、この湖特産のオショロコマ(イワナの一種)は、食糧がないときに神様が空から降らしてくれたものなのだそうだ。
夕食後、20時スタートでナイトウォッチングの会が開催された。然別湖ネイチャーセンター主催のイベントで、さすがにこのイベントには中国人ツアー客の参加はない。湖周辺で街灯があるのはホテル周辺だけなので、人工的な光の届かない自然の姿を楽しもうという企画である。これがまたすばらしかった。
秘密のウォッチングポイントまでミニバンで移動し、まずは暗闇でナキウサギの声を聴く。彼らは岩の間で活動するのだが、暗闇の中でも人間が来たことをすばやく察知し、鳴き声で仲間に「気を付けろ。人間が来た」と連絡しているのだそうだ。他に、エゾシカやキタキツネの姿も見ることができた。シマフクロウは声の出演。道路を横切るネズミを狙っているのだそうだ。
それから湖畔に移動して、星空観賞。まだ薄く雲がかかっているにもかかわらず、都会であれば1等星くらいの明るさの星がたくさん出ていた。これまで、あれほど見事なさそり座を見たのは、初めてである。残念ながら天の川は雲に隠れて見えなかったが、何年か振りで降るような星空を見ることができた。
あっという間に1時間が過ぎてホテルに戻ったのだが、然別湖にいらっしゃる方にはぜひお薦めしたいイベントである。要予約で、ホテルの予約とセットで行うことができる。ずいぶんと冷えたので、再度お風呂に行って温まってから寝た。カーテンを開けたままにしておいたら、夜半になって唇山の向こうから月が上がってきた。
p.s. このシリーズの続きをご覧になりたい方はこちら。
然別湖畔温泉ホテル。現在は「ホテル風水」という名前を使っている。国立公園内のため、ここと隣の「ホテル福原」以外は営業できないらしい。
実はこの2軒以外に、40年前は然別湖畔ユースホステルがあった。湖畔温泉ホテルがやっていたユースホステルで、2段ベットのぎゅうぎゅう詰めだったと記憶しているが、当時はユースホステルなんてみんなそんなもんだった。ここの遊覧船も湖畔温泉ホテルが経営しているので、料金が割引になったように覚えている。
然別湖に泊まるのは、以来40年振りのことである。湖畔温泉ホテルは現在、ホテル風水という名前を使っているが、ところどころに古い名前の表示が残っている。おそらく閑散としているのだろうと思っていたら、予想に反して観光バスが6、7台という盛況であった。ホテル風水には中国人ツアー客が数十人、ホテル福原には京都の修学旅行生が泊まり、たいへんな賑わいであった。
ホテル風水は客室のすぐ外が湖なので、窓から然別湖が一望できる。湖の対岸が天望山、別名唇山(くちびるやま)である。湖面に映った山がちょうど上下の唇のように見えることから名付けられた。着いた日の夕方は霧に包まれて見えず、翌朝の夜明け前にようやく見えた。ところが日が昇ると、右端の峠から雲が進出してきて再び姿を隠してしまった。神秘的である。
着いてさっそくにお風呂をいただく。含食塩・硫黄泉で、色合いはまさに硫黄のおうど色なのだけれど、それほど硫黄臭がないのはイオン化しているからだろうか。特筆すべきはその湧出温度で、70度以上ある。かけ流しならばどこかで冷ましているのだろうが、あるいは加水しているのかもしれない。
このところ鉱泉を沸かしたお湯が多かったので、噴き出した時から熱いお湯は久しぶりである。気のせいかもしれないが、よく温たまる。大勢宿泊できるホテルだけあって、浴室も大きい。団体客の入る前にゆっくり入っていたら、上がってから汗がとめどもなく出た。温泉につかりながら、40年前にここに来た時に聞いた話を思い出していた。
もともと然別湖畔には道が通じておらず、宿泊客や資材・食糧は舟で運んだという。北海道の湖にはダムによる人造湖が多いのだが、ここは火山活動により川がせき止められた自然湖であり、有史以前からある。アイヌの民話でも素材にとられており、この湖特産のオショロコマ(イワナの一種)は、食糧がないときに神様が空から降らしてくれたものなのだそうだ。
夕食後、20時スタートでナイトウォッチングの会が開催された。然別湖ネイチャーセンター主催のイベントで、さすがにこのイベントには中国人ツアー客の参加はない。湖周辺で街灯があるのはホテル周辺だけなので、人工的な光の届かない自然の姿を楽しもうという企画である。これがまたすばらしかった。
秘密のウォッチングポイントまでミニバンで移動し、まずは暗闇でナキウサギの声を聴く。彼らは岩の間で活動するのだが、暗闇の中でも人間が来たことをすばやく察知し、鳴き声で仲間に「気を付けろ。人間が来た」と連絡しているのだそうだ。他に、エゾシカやキタキツネの姿も見ることができた。シマフクロウは声の出演。道路を横切るネズミを狙っているのだそうだ。
それから湖畔に移動して、星空観賞。まだ薄く雲がかかっているにもかかわらず、都会であれば1等星くらいの明るさの星がたくさん出ていた。これまで、あれほど見事なさそり座を見たのは、初めてである。残念ながら天の川は雲に隠れて見えなかったが、何年か振りで降るような星空を見ることができた。
あっという間に1時間が過ぎてホテルに戻ったのだが、然別湖にいらっしゃる方にはぜひお薦めしたいイベントである。要予約で、ホテルの予約とセットで行うことができる。ずいぶんと冷えたので、再度お風呂に行って温まってから寝た。カーテンを開けたままにしておいたら、夜半になって唇山の向こうから月が上がってきた。
p.s. このシリーズの続きをご覧になりたい方はこちら。
然別湖畔温泉ホテル。現在は「ホテル風水」という名前を使っている。国立公園内のため、ここと隣の「ホテル福原」以外は営業できないらしい。
客室の窓から見た夜明け前の唇山(くちびるやま)。前の日もこの後も、山の右に見える峠から雲が侵入してきて、山は見えなくなってしまった。
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