奥多摩・天祖山

少し前に三ノ木戸山にクマが出て登山者が負傷という記事を書いたばかりだが、今週は都民の森・三頭山である。こう立て続けでは、奥多摩はもう無理なのかと思う。

現在の状況は、少し前まで箱罠でせっかく捕まえたクマを山奥に逃がすなどしていた結果なので、一朝一夕では解決しない。少なくとも20~30年。未来永劫、廃道やバリルートには立ち入るなということになるかもしれない。

20年経てば90歳、30年経てば100である。私の奥多摩山行も、今生においては打ち止めということになりそうだ。こうして、取り組んでいたことが次々手じまいに至ると、いよいよ人生も終盤を迎えたと再認識する。

以下は2012年10月、天祖山に登った時の記事。天祖山は、青梅警察署山岳救助隊の金(こん)副隊長の本を読んで登った。奥多摩でもっとも印象深い山のひとつである。すぐ横のタワ尾根や小川谷にクマが出ているので、いまや単独登山は難しい。

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柵の外からみるとまだまだ頑丈に見える神社も、近くで見るとかなり傷みが目立つ。突風とか何かのはずみで本殿の扉が開いてしまうと、あとは大日大神への道をまっしぐらであろう。

「天祖」「大日大神」「国光」といったネーミングから推測すると、天学教会の宗旨は宇宙の原理を理解し人としての正しい生き方を目指していくというものであったろうと思われる。そこに教祖のカリスマ性、神がかり的な能力、庶民のアニミズム的な自然崇拝の風土といった要因がプラスされて、この深山にこれだけの宗教施設を建てることができたのであろう。

その意味では、同じ奥多摩の御岳山も、丹沢大山も似た要素で成長してきたと思われる。いまや観光名所でしかない丹沢・塔の岳も、かつては尊仏岩があり信仰を集めていたという。このように日本人のアニミズムは非常に古く根強いものであったのだが、現世利益的な傾向を強める現代の流れの中、いまや朽ち果てようとしているのだろうか。

話は変わってこの天祖山、ガイドブックにほとんど載っていないなど、人気のない山である。

実際にこの土曜日、私以外に登ったのを確認できたのは3人だけ(1人は抜かれ、2人はすれ違った)。不人気の要因は、登頂に時間がかかること、日帰りの場合、往路を引き返す以外にルートがないことであるが、もう一つ言われているのは、ほとんど展望が開けず延々と登り坂が続くということである。

時間がかかるというのは、基本的にどうしようもない。人気のある雲取山でも、よく登られるのはほとんど鴨沢、石尾根など奥多摩湖側からとか、三条の湯経由、あるいは秩父側からで、長沢背稜より東からというのはそれほどポビュラーではない。まして天祖山周辺の林道・登山道には、崩落のため使用不能というところが少なくないのである。

一方で、登りにくく景色もよくないという評判については、そんなことはないというのが正直な感想である。確かに広々とした展望台などはないのだけれど、木々の間から見え隠れする鷹ノ巣山から日陰名栗峰、七ツ石山にかけての稜線や、北側ウトウの頭を中心とするタワ尾根の展望は、独り占めするのが惜しいほどである。

登りはたしかに傾斜がきついが、落ち葉で不鮮明な踏み跡を追いかけていくのは楽しい。基本的に危険個所はないように思うが、雨上がりであれば下りがさらにすべりやすくなると思われる。かつて死亡事故があった急斜面にはテープが張られているし、登山道自体を改修しているようだ。

また、昼食休憩をとった会所前は南への展望が開けていて気持ちがいい。石尾根の向こうに富士山が見えたのはうれしかった。おそらくこの会所も、富士山を望むため林を切り開いたに違いない。一方で山頂の神社裏の広場はなるほど日が当たらない。休憩場所としては会所前の方がかなり点数が高い。一度上がってしまうと戻るのが面倒だが。

富士山を見ながら日当たりのいい斜面でのんびりしていたら、あっという間に1時になり撤収。東日原を4時15分すぎのバスに乗るために相当飛ばしたので、2回転んでしまった。1回は下の岩にまともに膝下をぶつけたのだが、この日から新調した新兵器、CW-X(ワコール製なんですね、これが)の効果で、幸いなことに痛かったけどケガはなかった。

登山道入り口まで、ほぼノンストップで2時間半、そこから45分で東日原。柄にもなくコースタイムでがんばってしまったため、3~4日は太もも前とふくらはぎが痛くて仕方ありませんでした。

この日の経過
東日原バス停 6:55
7:45 登山口 8:00
8:35 ハタゴヤ付近(朝食) 8:55
9:30 ロボット雨量計 9:35
10:30 1450m付近 10:40
11:45 会所前(昼食)空身で山頂往復 12:55
14:27 ロボット雨量計 14:30
15:25 登山口 15:25
16:10 東日原バス停

p.s. この記事の全文はこちら。奥多摩の山歩きの記事もいろいろあります。

天祖山頂上1723mに建つ、天祖神社。このままでは1100m大日天神の途をたどるのか?

頂上直下1700m付近に建つ天祖神社会所。こちらはしっかりしていて、ぽっかりと日当たりのいいところです。


会所前から南方向。はっきり写っていないのが残念ですが、富士山も見えていました。



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