苦闘のお遍路歩き2・根香寺
東屋で腰を下ろして何時間ぶりかにほっとした時間を過ごす。もうすぐ正午。午後には雨が上がるという予報なのだが、止む気配はない。先ほどまで山道の中で「いい加減にしてくれよ」とつぶやいていた時ほど沈んだ気分ではないものの、弾んだ気分ではない。
公園を出て根香寺に向かう。「みち草」と看板の出ている売店の横を抜けてしばらく歩くと、「根香寺まで1km」の案内標識がある。分岐の先は舗装されていない土の道だが、ハードな登山道ではなさそうだ。予定より遅れていたこともあって、この遍路道を選んだ。
しかし、ゆるやかだったのは最初だけで、ほどなく岩がごつごつした坂道となった。やっぱり、舗装道路を行くんだったと思ったけれど、後の祭りである。十九丁あたりを歩いていた時より雨が弱くなってきたのが救いであった。
この遍路道は「讃岐遍路道」として国の史跡に指定されている。白峯寺から十九丁を経由してこの遍路道は、真念「道指南」も通った経路ということである。
途中に五色台のへんろ小屋がある。屋根付きで壁もきちんと付いた建物である。小屋の前に東屋もあり、休憩できるベンチもある。もう少し前にあれば当然休んで行ったのだが、10分ほど前に公園の東屋で休んだばかりである。時間もないのでそのまま通り過ぎる。
泊まることもできるとどこかに書いてあったと思うが、寝る場所はともかく水や食糧を手当てできる場所まで遠いので、大変だろうと思った。根香寺には売店も自販機も見当たらなかったし、へんろ小屋にもない。県道に戻るしか手段がないようで、とても私には無理である。
そもそも、野宿どころか小屋泊も通夜堂泊も、風呂やシャワーがなく洗濯機もないので、翌日ちゃんと歩けるかどうか私にはよく分からない。虫もいるだろうし冷暖房も当然ない。登山と同じと割り切ればいいのだろうが、実際に歩くのは山中ではなく車の通る普通の道なのである。
へんろ小屋を過ぎると、遍路道は下りの坂道になった。岩で足元が安定しない上、雨で滑ってたいへん歩きにくい。帰りもこの道を通るのは嫌だなと思った。そして、また雨が激しくなってきた。
午後から天気は回復するという予報で、もうお昼を過ぎているのにこの天気である。残り1kmと書いてあったのに、なかなか根香寺に着かない。気分は落ち込む一方である。
遍路道に入ってから30分ほど歩いて、ようやく根香寺に到着した。時刻は12時25分。12時までには着きたかったけれど、この天気では仕方がない。山門は白峯寺よりかなり大きく、両側に大わらじが納められていた。
中間地点の十九丁では土砂降り。ベンチはあるものの雨宿りできる場所はなく往生した。
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